近年は「AI時代」と言われたり、「データドリブン経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データサイエンス」といったことが注目を浴びていますが、そもそもデータをどのように保有・保管・管理をすればよいのかということは議論されることが少ないです。

データは、食材と同じように「鮮度がよく形が整っていて調理しやすい状態」を保っていないと、データ分析をしてもビジネス的な価値に繋がりにくくなります。

そうした一連の活動を「データマネジメント」 と呼びます。

今回はデータ利活用の縁の下の力持ちである「データマネジメント」に焦点を当てて解説していきたいと思います。

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データマネジメントとは?

データマネジメントとは、「データをビジネスに活かせる状態を継続的に維持し、さらに進化させていくための組織的な営み」のことです。

簡単に言うと「データをビジネスに活用するために、しっかりと土台を作っていきましょう」ということです。

ここでのポイントは以下の3つになります。

① データをビジネスに活かせる状態にすること
② その状態を維持し、進化させること
③ 組織的な営みができること

ここで詳細は述べませんが、データマネジメントについては、「国際データマネジメント協会(Data Management Association International)」や、「日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)」といった組織がデータマネジメントにおけるガイドラインを公表しています。

組織によってデータマネジメントの定義が若干異なりますが、上記の3つのポイントについては共通している考え方になります。

それぞれを見ていきましょう。

① データをビジネスに活かせる状態にすること

これは、自社で持っているデータや、外部から取得するデータが、自社のビジネスの目標達成や課題解決に対して「利用可能な状態にあるかどうか」ということです。

当たり前の話ですが、データが利用可能な状態でなければ、データを転送したり表示したり、ましてや分析することもできません。

逆に言えば、データを自由に扱える環境であったとしても、それがビジネスに活かされなければ価値がない、ということでもあります。

「ビッグデータ」と呼ばれるように、なにかとデータの「量」に注目がいきがちですが、データを上手く活用していくためには、

● そのデータは最新のものか
● データの抜け漏れはどの程度あるのか
● 事実を反映しているデータなのか

といったことを地道にチェックしていく必要があります。

ちょっと極端な例えですが、

「直近の動向を知りたいのに10年前の市場データしかない」
「顧客分析をしたいのに顧客を判別できるデータがない」
「実際に買われているのはAという商品なのにデータ上ではBが買われていることになっている」


という具合では、いくらデータが「ビッグ」であったとしてもそのデータから価値を見出すことは難しいでしょう。

この「当たり前のこと」がなかなかできていないからこそ、データ利活用のハードルが高くなり、データマネジメントの必要性が出てくる、とも言えます。

② その状態を維持し、進化させること

データを活用できる状態」になったら、今度はそれを維持し、進化させていくことが必要になります。

せっかくデータ利活用の戦略を立てて、必要なデータや基盤を準備し、分析するための人材を揃えても、それが「いまひとつ上手くいかずに、3ヵ月で終わってしまった」ということになると、データを活用して長期的に企業価値、事業価値を上げていくことができなくなります。

データを活用できる状態を維持、進化するためには 、

● データ
● システム
● 人材

の3つをマネジメントしていく必要があります。

データから価値を生み出すために重要なことは、特に「データ」と「人材」です。

システムに関しては「データ分析基盤」のような「情報システム」寄りの話になるため選択肢は限られてきますが、データと人材に関してはあれもこれもやろうとすると際限がなくなってしまうため、自社の課題解決のための優先順位をつけて、それに沿った形でマネジメントを実施していくことが必要です。

③ 組織的な営みができること

データ利活用において「組織的な営みができること」というのは非常に重要な要素になります。

データ分析は昨今の「AIブーム」で注目を集めるような「データサイエンティスト」と呼ばれる人材に任せておけばよいというものではありません。

データ利活用を組織的な営みとして実行していかなければならない理由としては、

● データ利活用は全社横断的な取り組みになること
● より多くの社員が「データ活用」に取り組み、「データ分析」を経営に活かす
● 特定の人材に頼らず、強みを生かしたチームとしてデータ活用に取り組むこと

といったことが挙げられます。

データ利活用は営業、広報、マーケティングといったセールスに関わる部署だけではなく、情報システム部門や研究開発、法務といった部署などとも連携しながら進めていくケースがほとんどですし、より多くのスタッフが「データ利活用」に関心を持って様々な議論を深めていくことが「データドリブン経営」にもつながります。

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おわりに ~データも「生き物」であるということ~

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は、データの利活用に不可欠な「データマネジメント」という取り組みについての基本を解説いたしました。

データマネジメントとは、「データをビジネスに活かせる状態を継続的に維持し、さらに進化させていくための組織的な営み」のことです。

データも食材と同じように「鮮度」や「形」「味」といった様々な側面を持っています。

つまりデータは「生き物」であるということです。(もちろん実際に触ったり食べたりはできませんが)

データを最高の状態に保っておくことこそがデータマネジメントの本質であり、その状態を維持し続けることがデータ利活用の効果を最大限に発揮することに繋がります。

データ利活用やデータ管理でお困りの際は、ぜひお気軽にエスシードにご相談ください。