近年では、EC(eコマース)に挑戦する中小企業も増えてきています。

「SNSで話題になって大ヒットした」といった事例を聞いたり、「大企業にはマネできないユニークな商品が話題になっている」といった事例を聞くと、自社でもECを始めたり、もっとインターネットを使って商品を販売できないかどうかと悩んでいる企業も多いかと思います。

ですが、中小企業のEC運営は大抵がうまくいきません。

今回は、中小企業のEC運営はなぜうまくいかないのか、どうすれば今よりも少しでも改善することができるのか、について解説していきたいと思います。

デジタル化やデータ利活用のお悩みをLINEで無料相談

中小企業のEC運営が上手くいかない5つの理由

中小企業のECがうまくいかない理由は様々な要因が考えられますが、以下に挙げることができます。

1. 販売戦略の不備
2. ウェブサイトの品質不足
3. 顧客ニーズの不明確さ
4. 配送・物流の問題
5. 支払いシステムの不備

それぞれ、簡単に解説したいと思います。

1. 販売戦略の不備

中小企業は、大手企業に比べてマーケティング・販売戦略に関するリソースや知識が限られていることが多いため、販売戦略が不十分である場合があります。

マーケティングなどを専門に担当する人材が配置されていない場合や、片手間にECサイトの運営を行っている場合も多いでしょう。

日々の業務に追われる中では、マーケティングやECに関することを従業員が学んだりすることも難しく、「なんとなく」の販売になりがちです。

2. ウェブサイトの品質不足

ECサイトは、顧客との接点となる重要なツールです。

しかし、中小企業は、ウェブサイトを構築・維持するための技術的な能力やリソースが不足していることがあり、ウェブサイトの品質が不足している場合があります。

ECサイトの構築を業種に依頼したりして作成する場合もあるかと思いますが、「見た目がきれいなサイト」と「人を呼び込めるサイト」というのは別問題です。

いくら価値のある商品を自社のECサイトで掲載しても、そこを訪れる顧客がいなければ売上に繋がらないことは明白です。

3. 顧客ニーズの不明確さ

ECにおいては、顧客のニーズや要望を的確に理解し、それに応じたサービスを提供することが重要になります。

しかし、中小企業は、顧客ニーズを把握するための情報収集手段が不足していることがあります。

上記のようにマーケティングに詳しい担当者がいなかったり、市場動向の調査などができないとなると、どうしても「自分たち都合」の商品を製作したり販売したりすることになりがちです。

「ターゲットがいま一つ明確ではないが、販売している商品」などは中小企業においては比較的多いのではないでしょうか。

4. 配送・物流の問題

ECにおいては、配送・物流に関する問題が発生することがあります。

中小企業は、配送・物流のプロセスを適切に管理するためのリソースやノウハウが不足していることがあります。

配送や物流というのは非常に大きな工数やコストがかかります。

現在では、商品の梱包や発送などを外注化できるサービスもあるため、必ずしも自社ですべての作業を実施する必要性はありませんが、1つ1つの商品の単価が低いような場合には「コストを回収できない」といった場合も多いかもしれません。

そうした中で、結局は自社で梱包や発送といった作業を実施することになり、集客やマーケティングに手が回らないといった悪循環になりがちです。

5. 支払いシステムの不備

近年の小売においては、「支払いシステム」の重要性も増してきています。

特にECにおいては、顧客が安心して商品を購入できるよう、支払いシステムの信頼性が求められます。

しかし、中小企業は、支払いシステムを運用するための技術的な能力やリソースが不足していることがあります。

近年では、従来の「口座振り込み」や「クレジットカード決済」といった支払い方法以外にも、電子マネーを使った決済方法や、スマホアプリを経由した支払いなど、商品に対する支払い方法が多様化しており、顧客が望む支払い方法に対応できていない場合は、商品を購入してもらうチャンスを逃してしまうことにも繋がります。

これらの問題を克服するためには、中小企業は、ECサイトの導入・運用に関するリソースや知識を習得し、販売戦略や顧客ニーズの把握、配送・物流や支払いシステムの運用など、各分野での改善策を考えることが必要です。

ただ、いきなりあれもこれも改善したり、新たな知識を学んですぐに活かすということは現実的には難しいと思います。

そこで、以下では中小企業がECで現状より少しでも効果を出すための方法について解説したいと思います。

中小企業がECで成果を出すための2つの方法

中小企業がECで成果を上げるためには、以下の2つの方法が考えられます。

1. 「広告」を活用する
2. 「SEO対策」をする

それぞれ、メリット・デメリットがありますので、それらを踏まえて解説いたします。

1. 「広告」を活用する

中小企業のECがうまくいかない大きな理由の1つは、「そもそも人が集まらない」からです。

特にAmazonや楽天といったプラットフォームを利用せずに、自社でECサイトを運営しているような場合は、日々のアクセス自体が非常に少ない状態である場合が多いです。

そうした中では、まずは「自社の商品の存在を知ってもらう」ということが第一になります。

そのために活用したいのが、Google広告などに代表されるインターネット広告です。以下のようなものが挙げられます。

  1. ディスプレイ広告:ウェブサイトやアプリの画面上に広告を表示する方法です。主にバナー広告やテキスト広告があります。
  2. 検索連動型広告:検索エンジンの検索結果ページに表示される広告で、キーワードによって広告が表示されます。代表的なものはGoogle AdWordsです。
  3. ソーシャルメディア広告:ソーシャルメディア上に広告を表示する方法です。主にFacebookやInstagram、TwitterなどのSNSで利用されています。
  4. ネイティブ広告:ウェブサイトやアプリのコンテンツと同じ形式で、自然に流れ込むような広告のことです。主に記事やブログなどの中に挿入される形式が一般的です。
  5. 動画広告:動画コンテンツの前や途中、または動画配信サービスの一部として広告を表示する方法です。YouTubeなどが代表的です。
  6. インフルエンサーマーケティング:有名なインフルエンサーがSNSやブログなどで広告を行う方法です。商品やサービスのPRなどが目的です。

こうした広告を活用することによって、顧客の関心を引き、自社の商品の存在を知らせることができます。

今までこうしたインターネット広告をほとんど使ったことがなく、ECの売上が伸びていないという状況であれば、まずは数万円程度の少額からでも利用してみることをお勧めします。

ただし、商品の単価が3000円以下のような低価格の場合は、広告費を投じると利益がほとんど残らないという場合もありますので注意が必要です。

リアル店舗での売上などが十分にあって、その資金をECの広告費に使えるような場合や、利益を上げることをいったん度外視して、商品の認知や口コミを集めるといった目的で使用するといった場合には、有効な手段になります。

2. 「SEO対策」をする

では、「広告にかけられる予算がない」という場合や「広告をかけても利益がほとんど残らない」といった場合はどうすればよいでしょうか。

その答えが「SEO対策」です。

「SEO」とは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略称であり、ウェブサイトやウェブページを検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための技術や手法のことを指します。

SEOそのものの詳細な解説はここではいたしませんが、要するに「顧客が何らかの商品などをインターネットで検索した際に、一番目立つ場所に自社の商品が表示させる」という技術のことです。

SEOに成功すれば、月に数万人規模で自社のECサイトにアクセスを集めることも決して不可能ではありません。

それだけ、検索された結果で上位に表示されるということは大きな効果を生み出します。

自社でSEO対策をすればほとんどコストはかかりませんので、低コストで集客や販売に繋げることが可能なのが大きなメリットです。

その反面、「広告」のような即効性がないため、成果が出るまでに半年や1年以上かかることが普通であり、粘り強く継続していかなければいけないのがSEOのデメリットです。

デジタル化やデータ利活用のお悩みをLINEで無料相談

おわりに ~ECサイトの位置づけを今一度考えてみる~

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は、中小企業のEC運営がなかなかうまいかない5つの理由と、それを改善していくために取り組みたいことを解説いたしました。

世の中の多くの商品では、検索結果に大手企業の商品が真っ先に並んでくるのが普通です。コンビニやスーパーなどのリアル店舗でもその傾向は変わらないと思います。

そうした大手企業の商品に真っ向から勝負をしてもほぼ勝ち目はありません。

したがって、「ECサイトがうまくいかない」という企業は、改めて自社でなぜECサイトを運営するのかを再検討してみることが大切です。

「ECサイトを運営しているが、いま一つ成果が出ない」「これからECサイトをどのような方向性で運営していくか迷っている」というお困りがございましたら、ぜひお気軽にエスシードにご相談ください。